── 場合わけなんかしてたら 時間足りねえよ
グラフの対称性
- $ \boldsymbol{f(-x,\quad y)=f(x,y)} $ $ \Longleftrightarrow $ グラフは $\boldsymbol y $ 軸対称
- $ \boldsymbol{f(\quad x,-y)=f(x,y)} $ $ \Longleftrightarrow $ グラフは $\boldsymbol x $ 軸対称
- $ \boldsymbol{f(-x,-y)=f(x,y)} $ $ \Longleftrightarrow $ グラフは原点対称
数式で書くとわかりづらいが、例えば方程式の中の文字 $\boldsymbol x $ を全て $\boldsymbol{-x} $ に置き換えても同じ方程式が得られるならば、そのグラフは $\boldsymbol y $ 軸対称であるということだ。例を見てみよう
$ y=|x| $ のグラフを考える。
$ x $ を $ -x $ に置き換えると、左辺は変わらず、右辺も
$$ |-x|=|x| $$
となって元の方程式と同じであるから、グラフは $ y $ 軸対称。
[1]
対称性より $ x\geqq 0 $ とすると、 $ y=x $。 対称性を戻して、
一工夫いる場合
単純に $ x $ を $ -x $ に置き換えてみても、こんどは右辺が $$ |-x-1|=|x+1| $$ となってしまい、元の式 $ y=|x-1| $ に一致しない。対称性は使えないのだろうか。
諦めるのはまだ早い。先に答えをお見せしよう。
あれ? 対称的な形じゃない?
対称性の本質を思い出してほしい。
$ y=|x-1| $ において、 $ X=x-1 $ とおいてみると、 $$ y=|X| $$ この $ X $ についての方程式で、 $ X $ を $ -X $ に置き換えると $$ |-X|=|X| $$ となり、元の方程式 $ y=|X| $ に一致する。
$ X $ を $ -X $ に置き換えても成り立つということは、グラフが直線 $\boldsymbol{X=0} $を軸に対称であることを意味する。
$ X=x-1 $ であったから、直線 $ X=0 $ というのは $\boldsymbol{xy}$ 平面上の直線 $\boldsymbol{x=1} $ のことである。
グラフを見ると確かに $ x=1 $ を軸に対象になっている。
例
対称性より $ x,y \geqq 0 $ とすると $$ x+y=1 $$ 対称性を戻して
$ X=x-2,\quad Y=y-1 $ とおくと、方程式は $$ |X|+|Y|=1 $$ 対称性より、このグラフは直線 $ X=0, \quad Y=0 $ を軸に対称。
直線 $ X=0 $ は $ x=2 $、 $ Y=0 $ は $ y=1 $。
まず、対称の軸をかく。 $ X,Y \geqq 0 $ のとき $ X+Y=1 $。 対称性を戻して
応用1 ──2文字の式の絶対値──
$ |X|+|Y|=1 $ より、直線 $ X=0, Y=0 $ を軸として対称。
$ X=0 $ は $ x+y=0 $ すなわち $ y=-x $
$ Y=0 $ は $ x-y=0 $ すなわち $ y=x $
対称の軸をかく $ X,Y \geqq 0 $ すなわち $$ y\geqq -x, \quad y \leqq x $$ のとき
$ X+Y = 1 $ より $ (x+y)+(x-y)=1 $、 すなわち $$ x=\dfrac{1}{2} $$ 対称性を戻して
応用2
$$ X=x+y-2, Y=x-y $$ とすると
$$ |X|+2|Y|=2 $$ より、直線 $ X=0, Y=0 $ を軸として対称。
直線$ X=0 $ は $ y=-x+2 $ 、 $ Y=0 $ は $ y=x $。
まず対称の軸をかく。 $ X,Y \geqq 0 $ すなわち $$ y\geqq -x+2, \quad y \leqq x $$ のとき、 \begin{align} 2 &= X+2Y\\ &= (x+y-2) + 2(x-y)\\ &= 3x-y-2\\ y &= 3x-4 \end{align} 対称性を戻して
裏技的なもの
とりあえず手描きのを貼っときます。余裕があれば打ち込む。
終わりに
冒頭でも述べたように、短い試験時間の中で4通りや16通りもの場合分けをしている余裕はない。対称性を使ってできる限り楽に解こう。
質問・感想
ちゃんと定義に従って $ f(x,y)=0 $ という形にするなら、
移項すると $ |x|-y=0 $
ここで左辺 $ f(x,y)=|x|-y $ とおくと \begin{align} f(-x,y) &=|-x|-y \\ &=|x|-y \\ &=f(x,y) \end{align} であるから、グラフは $ y $ 軸対称。